十番隊上位席官の心得
昇進おめでとう、平山第九席。
君も晴れて、今日から上位席官の仲間入りだ。
上位席官は、その名の通り、下位席官とは段違いの重要な任務を任されるし、背負う責任も大きい。そのことを肝に銘じて、精進してくれ。
さて、君も上位席官の一員となった以上、これから隊長・副隊長との接する機会もこれまでにも増して増えることになる。その為の心得を説いておこう。これは、我々、先輩上位席官は常に心に留めて行動してることだ。心して聞いてくれ。
まず、第一に。執務室を訪れる際の注意点だ。そうだ。下位席官時代は隊長か副隊長に呼ばれない限りは執務室なんて入ったこともなかったろうが、上位席官ともなると打ち合わせ、書類の提出、その他もろもろの用事で自ら執務室に赴くことも決して稀ではない。
呼ばれて執務室に赴く場合、緊急事態の場合はこれまでどおりでいい。問題は、平時で、こちらから用件があって執務室を訪れる場合だ。これは二つの対処法を使い分ける必要がある。
緊急事態ではないが、至急で処理していただきたい用件がある場合。この場合は極力、霊圧を上げていけ。隊長たちがすぐに気付かれるようにな。逆に、至急ではない用件の場合は、霊圧を押さえろ。何なら、閉じていてもいい。そして、必ず、中の霊圧を探れ。
どうしてかって?
そりゃ、日番谷隊長と松本副隊長がいい雰囲気の時に、邪魔しちゃ申し訳ないだろうが。
ああ?
ないない。それは絶対ない。日番谷隊長は真面目で公私の区別はつける方だし、松本副隊長だって見かけと違って、結構純情で古風な方だからな。執務室でそんな不謹慎なことは絶対にしない。だから、その心配は杞憂だ。
とは言ってもだ。恋人同士がひとつ部屋で過ごしていらっしゃるんだ。休憩中とかに、ふとした拍子に甘い雰囲気になることもある。そんな時に、不用意に俺たちが入ってみろ。隊長たちが気まずい思いをされたら、申し訳ないだろう? そう。だから、至急の時は霊圧を上げて、隊長たちの注意を促し、仕事モードに戻っていただく。そうでない場合は邪魔立てせずに出直す。分かるな?
第二に、松本副隊長のうなじに虫刺されがあっても、絶対に指摘するな。
そうだ。
それから、松本副隊長がおひとりの時に、九番隊の檜佐木副隊長、七番隊の射場副隊長がおみえになった時は、執務室にご案内後、松本副隊長から退出を命じられるまでは退出するな。他に、後でリストを渡すが、そのリストに載っている他隊席官の顔と名前は覚えておいて、日番谷隊長、松本副隊長がおひとりの時に彼らが訪ねて来た場合は同様に退出を控えろ。
もちろん、日番谷隊長、松本副隊長に横恋慕している連中のブラックリストに決まってるだろう?
え、市丸隊長?
ああ、あの方は構わない。松本副隊長に関して言えば、間違いなく、瀞霊廷中で最も無害な方だ。それに、いずれは日番谷隊長の義兄となられるんだ。くれぐれも失礼がないようにしろ。
あとな。他隊の上位席官と仕事やプライベートで一緒になることも多いだろう。その時は、隊長、副隊長の仲の良さを極力アピールすることも上位席官の務めと心得ろ。いかに息が合ってるか、信頼し合っているかを、懇切丁寧に説明するんだ。
我々十番隊の悲願。隊長と副隊長の華燭。
一日でも早く、見たいよな? その為には十番隊員一丸となって、隊長たちの仲を後押しして差し上げねばならないんだ。
おう、そうか。
そうそう、平山九席、その意気だ。飲み込みが早くて嬉しいぞ。
そうだよ。うん。
さすがだ。もう立派に上位席官じゃないか。我々全員、君の昇進を歓迎する。これからも、ともに十番隊の為に頑張っていこう。
では、平山誠一郎くんの第九席昇進を祝して。
かんぱーい!