葉月〜向日葵〜


 開け放した執務室の窓から、桃色の塊が飛び込んできた。
「らんちゃーん!」
 飛び込んできた塊は、ソファで眠る乱菊の上にぽすんと座った。
「やちる…」
 目をこすりながら、乱菊は身体を起こす。
「お昼寝の邪魔してごめん」
「いいのよ。それより、何?」
 やちるは童顔に満面の笑みを浮かべていた。楽しそうな少女の笑顔に、つられて乱菊も笑顔になる。
「どうしたの、やちる。ずいぶん嬉しそうじゃない?」
「らんちゃんにそっくりな花を見つけたの!」
「あたしそっくり?」
「うん。ほら、これ!」
 後手に隠していた花を、やちるはずいと乱菊の前に突き出した。
 やちるの頭ほどもある大きな向日葵が乱菊の視界いっぱいに広がった。
「向日葵?」
「うん」
「あたしそっくり?」
「うん!」
 やちるは力の限り肯定した。
「だって、花の色がらんちゃんの髪と一緒だもん。それにね、すごく背が高くてね、そんで、見てると何だか楽しくなっちゃうの。ね、らんちゃんみたいでしょ」
「ありがと、やちる」
「これ、らんちゃんにあげるね!」
 言いたいことを言って満足したのか、
「じゃあね、らんちゃん!」
と、やちるは窓から飛び出して行った。

「って、やちるが置いていったんですよ」
 隊長会議に出かける前までは執務室に存在しなかった巨大な向日葵について、上司から尋ねられ、乱菊はくすくすと笑いながら、説明した。
「やちるったら、引き止める間もなく飛び出して行っちゃったから。向日葵のお礼に、昨日買ってきたばかりの飴をあげようと思っていたのに」
「相っ変わらず、落ち着きがねぇな」
「元気がよくて、いいじゃないですか」
「まぁ、落ち着いた草鹿なんて、考えられねぇが」
 苦笑した冬獅郎に、乱菊は告げた。
「あたしは、どちらかというと、やちるこそ向日葵だと思うんですけどねぇ」
「?」
「花色と背が高いとこは置いといて、向日葵って、確かにやちるの言うとおり、見る人を明るくさせる不思議な力があるでしょ? それって、あの子そっくりだと思いません?」
 その指摘に、
「確かに」
と冬獅郎は頷いた。
「それに、向日葵は太陽の方ばっか向いてるからな。更木ばっか見てる草鹿に似てるよな」
「更木隊長は太陽ですか?」
「そこは深く追及するな」
 言いながら、向日葵に一瞥をくれ、冬獅郎は執務机に就いた。
 乱菊が向日葵そっくりだと言ったやちるに全面的に賛成だとは、黙っておこうと思いながら。

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 向日葵の花言葉:あこがれ・私の目はあなただけを見つめる・崇拝・熱愛・愛慕

 乱菊さん=向日葵というのは、他のサイトさまでも見たことがあって、管理人も隊長同様に全面的に賛成です。
 ただ、やちるちゃんの明るさも向日葵っぽい気がするんです。花束によく使われる、小さめの向日葵がやちるちゃんのイメージだったので、こういう話になりました。
 正直、ネタが尽きてきた感がありますが、あと4つ。
 頑張ります。

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2008.12.07