幸せの重み


 ぱたぱたと賑やかな足音を響かせて、子供たちが戻って来た。
「ただいま!」
 庭に廻った子供たちは意気揚々と濡れ縁に買い物籠を置き、出迎えた乱菊は、
「おかえりなさい。ありがとう」
とねぎらった。
「暑かったでしょ? 西瓜を切ったんだけど食べる?」
「わぁ、たべる、たべる!」
「おばうえ、ありがとう!」
 二人の男の子は歓声を上げた。
 絢女の息子の主真かずまと烈の息子の柊也しゅうやは、このところずっと、日番谷邸に入り浸っている。臨月の乱菊はいよいよ出産間近で、赤ん坊との対面を心待ちにしている二人は気になって仕方がないのである。
 この二人、まだ幼いがなかなかにしっかり者で、結構役に立つ。買うものさえ、きちんとメモに書いて渡せば、おつかいもこなせるし、庭の草むしりや水撒きなどの雑用も請け負ってくれる。ただでさえ重たい身体では真夏の外出は億劫なだけに、おつかいだけでも、乱菊には大助かりである。最近では、すっかり市場の大将やおかみさんたちと顔馴染になり、マスコット扱いで可愛がられているようだ。買い物籠を覗いて見れば、今日もおまけして貰ったらしく、胡瓜がずいぶんとたくさん入っていた。
 濡れ縁に腰掛けて、二人は西瓜にかぶりついた。まだ、午前中とはいえ、すでに厳しくなり始めた夏日に市場まで往復したのだ。咽喉も乾いていたのだろう。主真も柊也も最初の一切れは、ものも言わずに夢中になって食べていた。それで、人心地ついたのか、二切れめで種を遠くに飛ばす競争を始めたあたりは、やはり子供だ。
 乱菊の懐妊を知った直後は、父親から「きっと女の子が生まれるからお嫁さんにしろ」と吹き込まれていたこともあり、自分のお嫁さんだと言い争った二人である。だが、現在は男の子であれ、女の子であれ、とにかく、生まれて来るのが楽しみで仕方ないらしい。尤も、女の子ならお嫁さんにするという野望は捨てていないらしく、目下、「いい男」を目指して発展途上中だ。二人でどちらがいい男になれるか競っているだけに、大人になったらどれほどかと、乱菊も将来が楽しみでならない。
「おばうえ、おなか、さわってもいい?」
「ぼくもさわりたい」
 三切れずつ、西瓜を平らげ、種飛ばし競争を終えた二人はせがんだ。
「いいわよ」
 許可を貰った子供たちは嬉しそうな顔で、乱菊の腹部に手を伸ばした。その手つきは子供ながら繊細で、乱菊も中にいる赤ん坊も決して傷付けることがないように気遣っているのがよくわかる。ぴとっと、小さな掌が二つ、乱菊の腹部に押し当てられた。
「かずま、うごいてる?」
「うん。もぞもぞしてるよ。そっちは?」
「ねてるのかなぁ? うごかないや」
「あ!」
 主真と乱菊が同時に声を上げた。
「蹴った」
と乱菊が呟き、主真は真面目くさった顔で、
「だめだよ。おばうえのおなかをけったりしちゃ」
と、赤ん坊に注意している。
「おきたのかな? こっちももぞもぞした」
 柊也が目をキラキラさせた。
 現在、乱菊が宿している生命は二つ。冬獅郎との間に授かった子供は双子だった。これは尸魂界においては、記録文書に残るほどの椿事である。元々、尸魂界では子供はそう簡単には産まれない。充分な霊力があり、若く健康で仲も円満な、子供を成すにすこぶる適した夫婦でさえ、数十年に一回の割でしか、子供が授からないのだ。ましてや、双子など、四百二十年ほど前に中級貴族の家に産まれたのが最も直近の記録というほどだった。
 現世では「畜生腹」などと呼ばれ、双子が忌まれた時代や地域もあるそうだ。だが、子供が産まれること自体が稀な尸魂界では、一度に二人もの子が授かるのはこの上もない瑞祥とされている。瀞霊廷では、臨月の妊婦の腹に触ると子宝に恵まれるという俗信がある。乱菊の子が双子だと知って、是非ともあやかりたいとわざわざ頼み込んで来た上級貴族の奥方もいたほどに、彼女と赤子たちは祝福されていた。
「いつ、うまれるのかなぁ?」
「もうすぐよ」
 烈からはいつ産まれてもおかしくないと診断されていた。
「はやくでておいで」
「ぼくもかずまもまっているんだぞ。はやく、おいで」
 兄貴分の呼びかけに、赤ん坊は乱菊の腹を蹴ることで応えていた。

 勝手知ったる他人の家。
 いつものように裏口から入って庭に廻った主真と柊也は、濡れ縁から、
「こんにちは!」
と呼ばわった。しかし、常ならば、笑顔で出迎えてくれるはずの乱菊からの応えがない。家の中はしんと静まり返っている。
「おるすかなぁ?」
 柊也が首を傾げた。
「あとで、またこようか」
と主真を顧みると、彼は真剣な顔付きで家の中を凝視していた。
「だれかいる」
「まつもとふくたいちょう、いるのか?」
「おばうえかどうかわかんないけど、だれかいる」
 主真にはまだ霊圧探査は出来ない。だが、幼い彼が察知した霊圧は、ひどく乱れているように思えた。
「へんだよ、しゅうちゃん」
「たしかめる?」
「うん」
 それぞれの母親からも、冬獅郎からも、様子が変だと感じたら、勝手に家に上がってもいいから確かめろと言い含められていた。二人は、すわ、と室内に上がり込んだ。
 居間を抜け、廊下に出た二人の耳に、微かな声が届いた。
「あっちだ」
「うん」
 二人が足を踏み入れたことがない奥から、声は聞こえていた。やがて、それが呻き声だと気付き、二人は顔を見合わせた。
「おばうえ!」
「まつもとふくたいちょう!」
 声に向かって駆けた主真たちは、床に倒れて、苦しそうに呻いている乱菊を発見した。湯殿の傍らに設けられた洗濯室である。洗い上がった洗濯物を干そうとしていたのだろう。彼女の傍らには濡れた衣類を詰め込んだ籠が横倒しに転がっていた。
「おばうえ」
 心配そうに覗き込んで来た主真を認め、乱菊は苦しい呼吸の合間から、
「赤ちゃん…、産まれそう…なの」
と告げた。主真と並んでしゃがみこんでいた柊也が慌てて立ち上がった。
「ははうえ、よんでくる!」
 だが、主真がその手を掴んで止めた。
「まって、しゅうちゃん」
「なんだよ?」
「おばうえがよんばんたいにいかなきゃダメだ」
「そっか」
 主真の言い分は納得した。けれども、幼い二人では乱菊を四番隊に運ぶのは絶対に無理だ。
「おじうえ、よんでくる。しゅうちゃん、おばうえといっしょにいて」
と主真が告げた。柊也は頷いた。
「わかった。いそぐんだぞ」
「うん」
 主真は脱兎の如く飛び出して行った。残された柊也は、そっと乱菊の腰に手を触れた。癒しの女神として護廷に君臨する四番隊長・卯ノ花烈を母親に持つ柊也には、既に母親譲りの能力が備わっていた。もちろん、まだ回復鬼道や治療鬼道を遣えるわけではない。しかし、技術ではなく、乱菊を何とか楽にしてやりたいと願う心によって、彼の掌底からは癒やしの霊力が滲み出していた。
 小さな子供の手で背中から腰のあたりをさすられ、乱菊は陣痛の痛みが幾分和らいだのを知った。呼吸も少し楽になった。
「柊ちゃん…、ありがと」
「まつもとふくたいちょう…」
 泣きそうな顔の柊也に乱菊は弱々しい笑みを向けた。
「柊ちゃんにさすって貰って少し楽になったわ」
「ほんと?」
「ええ。もう少し、さすっていてくれる?」
と乱菊は頼んだ。
 頷いた柊也は、真剣な顔で再び乱菊の腰をさすり始めた。

 一方、家の中を駆け抜けて庭に飛び出した主真は、たん、と地を蹴って屋根に飛び乗った。
 護廷三番隊長と五番隊長を両親に持つ主真は、柊也同様、幼くとも高い霊力が備わっていた。瞬歩こそまだ使えないが、跳躍力も脚力も、一般人の大人では太刀打ち出来ないほどに強い。彼はぐるりと周りを見渡して、目指す十番隊の隊舎の位置を確認した。
 彼の足が屋根瓦を蹴った。屋根伝いに最短距離の直線で、主真は十番隊に走る。
 隊舎の少し手前で、主真はいったん止まった。
 護廷の隊舎は敷地を囲む塀の上に、更に見えない結界が張り巡らされていた。侵入者を防ぐ為の処置である。だが、地獄蝶や緊急時の伝令が行き来する必要があることから、結界は閉じられてはおらず、高い位置で切れている。主真はその結界の境目の高さを見極めると、助走をつけて跳躍した。走り高跳びの背面飛びの要領で背中ぎりぎりで結界を飛び越え、彼は中庭に降り立った。着地の際、ちょっと失敗して膝小僧を擦りむいてしまったが、一切気にしない。夏場のことで開け放たれていた窓から、主真は執務室に飛び込んだ。
「おじうえ!」
 主真が塀を超えて侵入してきたという一事で、既に事態を覚っていた冬獅郎は飛び込んできた甥っ子をがっちりと抱き止めた。
「乱菊が産気づいたのか?」
 叔父の確認に、主真は頷く。「産気づく」という言葉は初めて聞いたが、直感で意味が分かった。
「あかちゃん、うまれそうだって。おばうえ、くるしそうなんだ」
 冬獅郎は振り返った。
「志藤」
 産休中の乱菊の代わりに執務室に詰めて、副隊長業務を代行している三席は、
「十番隊は三席、志藤和興かずおきが預かりました」
と打てば響くような応えを返した。
「任せた」
「は! 隊員一同、朗報をお待ちしております」
 冬獅郎は抱えたままだった主真を下ろすと、
「主真、先に四番隊に行って、卯ノ花隊長に報せてくれるか?」
と頼んだ。
「はい」
 即座に引き受けた主真は再び、窓から飛び出した。甥の後を追うように、冬獅郎も窓から執務室を抜けた。
 三席は窓辺に走り寄った。
「蛙の子は蛙かぁ。末怖ろしいったらないな」
 隊首はむろん、幼い主真さえ、既に姿が見えなくなっているのに気付いて、彼は思わず零した。主真が隊長になる頃、自分はどうしているだろうと、三席は遠い未来に想いを馳せた。

 霊圧で乱菊と柊也が洗濯室にいるのは分かっていた。居間の座卓に、乱菊の伝令神機が無造作に置いてあった。産気付いたらすぐに冬獅郎に連絡するよう言い含めていたが、おそらく、ちょっと洗濯物を、というつもりで伝令神機を忘れて行き、そこで急激な陣痛に見舞われたのだろう。
 冬獅郎が急いで洗濯室に駆けつけると、脂汗を流している乱菊と、彼女の腰を懸命にさすっている柊也がいた。
「乱菊」
 冬獅郎が声を掛けると、乱菊は苦しげに視線を上げた。
「ごめん…なさい。…今朝からお腹が張って…痛いような感覚…あったんですけど…、我慢…できる…くらいだったし…」
 数日前から前駆陣痛と呼ばれる不定期な痛みは感じていた。腹が急に張って吐き気を覚えたり、腰のあたりに鈍痛が来たかと思うと一時してすぅっと引いたりといった症状だ。今朝も痛みの感覚はあったのだが、いつもの前駆陣痛だと考えていた。我慢できる程度の痛みだったし、烈や、絢女や、出産経験のある隊の部下たちからも徐々に痛みが強くなって来て、一刻いっこく
*1 から半刻間隔で痛みに見舞われるようになったら本陣痛だと聞かされていたので、まだまだだと思っていた。実は少しずつ痛みは強まっていたのだが、死神稼業でなまじ痛み慣れしていたのが仇になった。まだまだ大丈夫、本陣痛ではないと高を括っていたところに、急激に突き抜けるような痛みが来たのだ。思わず蹲り、堪えきれずに床に倒れてしまうほどの激痛だ。それでも、烈たちが語っていた通り、波はあったのだ。だが、激痛が中程度の痛みに治まるだけで痛みが消えるわけではなかった。少し楽になったから、居間に這って行こうとそろそろと起き上がろうとすると、どんと激痛が来る。それの繰り返しで乱菊は洗濯室から動けなかったのだ。
 冬獅郎は乱菊の腰をさすり続けていた柊也の頭をそっと撫でた。
「柊、ありがとう。もういいぞ」
 こくんと首を振って、柊也は乱菊から手を離した。少し虚ろな目になっているのは霊力を消耗したせいだろう。柊也にはまだ自分の霊力をコントロールするだけの技量はない。少しでも乱菊を助けたいと一生懸命になる余り、霊力をむやみに垂れ流してしまったようだ。
「俺は乱菊を四番隊に運ぶ。柊のことは浮竹隊長に報せておくから、お父さんが迎えに来るまでここで休んでいろ」
「はい…」
 冬獅郎は乱菊を抱え上げた。
「柊ちゃん、…ありがとね」
 乱菊の言葉に、虚ろな目のままだったが、柊也はちょっとだけ笑って応えた。
 柊也を残して、冬獅郎は家の中を駆け抜けた。乱菊の負担になるので瞬歩は使わない。庭に降りた冬獅郎は、甥っ子が報せに走った時にそうしたように、屋根に上がり、四番隊までの距離を直線で駆け抜けた。
 主真の伝令で、冬獅郎の到着を待ち構えていた烈は、ただちに乱菊を手配の個室に運び、診察した。
「子宮口の開きは現在、一寸半
*2 というところですわ。破水もまだですね」
「まだ相当、かかりますか?」
 冬獅郎は問うた。姉が主真を産んだ時はかなりの難産で、結局、産まれるまで丸一日、絢女は陣痛の痛みに呻いていた。冬獅郎が絢女の出産時を思い出していることを悟り、烈は柔らかな微笑を浮かべた。
「絢女さんは特別に難産でしたから。乱菊さんは絢女さんより子宮口の開きも順調ですし、あそこまではかからないと思います。ですが、乱菊さんも初産ですからね。子宮口が全開して、分娩に入るまであと二刻ふたとき
*3 程度は最低でもかかると、考えていて下さい」
「…最低二刻ふたとき…」
 乱菊が気が遠くなりそうな目をした。
「乱菊さん、大丈夫ですよ。日番谷隊長も付いていらっしゃいます。何でしたら、当たり散らして気を紛らわせても構いませんよ。責任の半分は日番谷隊長にあるのですから」
 にっこりと笑って、烈は一旦、病室を出た。入れ替わりに、主真を抱いた絢女とギンがやって来た。どうやら、四番隊に報せた後、主真は両親にも伝令に走ったらしい。
「どんな?」
 絢女に問われ、冬獅郎は先ほど烈から聞いた話を伝えた。
「二刻かぁ。乱菊、絢女よりは断然、順調やで。安心しィ」
とギンは乱菊を励ました。
「おばうえ…」
 不安げな甥っ子に、乱菊は何とか笑顔を浮かべて見せた。
「主真、大丈夫よ」
と彼女は言った。
「赤ちゃんが…産まれる時…は、みんなこうなの…。あたしが特別じゃない…からね。心配しないで…いいのよ」
「みんな?」
「ええ」
「かあさまも?」
「ええ」
 主真はぎゅうと母親にしがみついた。
「産まれるまで、まだまだ掛かる。様子が変わったら、直ぐに連絡するから、二人とも隊務に戻ってくれ」
「そやなぁ」
 確かにここにいたって、絢女にもギンにも出来ることはない。二人は頷き合って、隊に戻ることにした。ギンが義弟の肩を叩いた。
「出産の時、男はホンマ、役立たずやてこれから思い知らされるで。落ち込まんようにしぃ」
と告げて、ギンは部屋を出た。
 廊下には柊也を抱えた十四郎がいた。冬獅郎の知らせを受けて、日番谷邸でへたり込んでいた息子を回収し、その足で様子を見に来たのだ。絢女から説明を受け、十四郎はほっとした様子で頷いた。
「柊也から、松本くんが倒れていたと聞いて心配だったんだが、大丈夫なんだな?」
「そうやなかったら、卯ノ花隊長が付きっきりになってますやろ」
「それもそうか」
 ギンは十四郎の腕にいる柊也の頭をぐしゃぐしゃと撫でまわした。
「冬獅郎はんから聞いたで。柊ちゃん、えらい頑張ったそうやねぇ」
「主真くんも頑張ったんだろう?」
と十四郎も主真の頭を撫でた。
「二人とも偉かったわね」
 誉められて、二人とも照れ臭そうにしている。
「かあさま」
「なあに?」
「かずま、ここにいちゃだめ?」
 赤ん坊を少しでも早く見たいのだ。
「ぼくもここにいたい」
と柊也も主張する。
「赤ちゃん、産まれるまで、まだいっぱい時間がかかるのよ」
「うん、でも…」
 ギンが息子とその友達を交互に見ながら確認した。
「おとなしゅうに待っておれるか? 勝手に病室に入ったり、退屈やいうて廊下を走り廻ったりしィへんで、おとなにしとくて約束出来るか?」
「できる」
「ちゃんとする」
 主真と柊也は口々に約束したので、絢女たちは二人を病室の近くのベンチに下ろした。
「じゃあ、ここにいなさい」
「日番谷隊長や、四番隊の人たちの言うことを聞くんだぞ」
と言いおいて、親たちはそれぞれの隊に戻って行った。
 ベンチに置いて行かれた主真と柊也は互いの手をぎゅっと握り合い、つぶらな瞳で乱菊のいる病室を見つめ続けていた。

 乱菊が分娩室に入って間もなく、桃を伴った絢女と、ギンが揃ってやって来た。定時で仕事を終えて直ちに駆け付けたのだ。
「乱菊は?」
「つい今しがた、分娩室に入った」
「いよいよやねぇ」
とギンは分娩室を見遣った。
「主真たちは?」
 見当たらない子供たちに、絢女は眉を顰めた。
「隊員休憩室にいる」
と冬獅郎が答えた。
「廊下だと、乱菊が痛がっている声が聞こえるからな。大丈夫だっていくら言われても、やっぱり不安だったみたいで、山田花太郎が休憩室に連れて行ってくれた」
「子供やしな。やっぱり、あないに痛がっとうの見たら怖いか」
 ギンは絢女を向くと、
「ボクが連れて来るわ。絢女はここに居っとき」
と告げ、休憩室に向かった。
 ギンが休憩室に入ると、主真と柊也はお互いの体にもたれ合うようにして、ソファで眠っていた。隊員の誰かが掛けてくれたタオルケットが、半ばずり落ちかかっている。すうすうと寝息を立て、ぐっすりと寝入っている幼子の姿に、ギンの頬に笑みが浮かんだ。
「今日は自分ら、大活躍やったもんなぁ。疲れてしもたんやね」
 タオルケットを丁寧に畳んで脇に置き、ギンは右手に柊也を、左手に主真を抱き上げた。両手が塞がってしまったギンの為に、居合わせた四番隊員が扉を開けてくれた。
 分娩待合室に戻ると、やはり定時で上がって息子を迎えに来た十四郎がいた。
「市丸」
 呼びかけた十四郎の声で、まず柊也が目を覚ました。眠そうな目を擦り擦り、
「いちまるたいちょう?」
と声を上げた。
「お、柊ちゃん、起きたか?」
「…まつもとふくたいちょうは…? あかちゃん、どうなった?」
と、真っ先に尋ねるあたり、よほど気になっていたのだろう。
「今、赤ちゃんが産まれる為のお部屋に入ったの。もうすぐ産まれるわ」
 主真を受け取りながら、絢女が教えた。母親の腕に移って、主真も目覚めたようで、
「もうすぐ?」
と目をぱちぱちとさせた。
「いよいよ、赤ちゃんに会えるぞ」
 十四郎が柊也の頭を撫でる。
「うん!」
 嬉しそうに笑みを浮かべた柊也に対して、主真は絢女にしがみついて、彼女の肩口に顔を埋めてしまった。どうしたのだろうと訝っていると、
「かあさま…。ごめんなさい」
 か細い声の謝罪が聞こえて、絢女はギンと顔を見合わせた。
「何を謝っているの?」
「主真は今日、いっぱい頑張ったんやなかった? 父さまも母さまも、主真に謝られなならん覚えないねんけどなぁ?」
「待っている間に、何か失敗しちゃった?」
 主真はかぶりを振った。
「じゃあ、なあに?」
「かあさま…、もっといたかったって…」
 小さな声で主真は言った。
「かずまのとき、おばうえより、もっともっといたかったって…」
「…」
「かあさま、ごめんなさい」
 幼子は大人の言葉を思いがけないふうに解釈するものだ。おそらく、四番隊の誰かが、絢女の出産時はもっと難産で大変だったと主真に教えたのだろう。もちろん、それを告げた者に悪意があったとは思わない。陣痛に怯える子供たちの為に、もっと苦しんで産んだ絢女も、その結果産まれた主真も現在とても元気なのだから、乱菊も大丈夫なのだと安心させるつもりで話したのだろう。だが、主真は自分のせいで母親に苦しい思いをさせたと信じ込んでしまったのだ。
 絢女は主真を待合室のソファに下ろした。その前にしゃがみ込んで、息子を見上げる姿勢を取ると、彼女は言った。
「主真を産んだ時、とっても苦しくて痛かったのは本当よ」
 主真の表情が歪んだ。桃が何か言おうとしたのを、ギンが制した。
「それでね、乱菊…、叔母上はその時、ずっと母さまに付いててくれたの。分かる? 叔母上は赤ちゃんが産まれる時にどんなに苦しいか、痛いか、母さまを見てたからちゃんと知っていたのよ。だけど、叔母上は自分に赤ちゃんが出来た時、怖がった? 痛いのは嫌だから、赤ちゃんなんて要らないって言った?」
 主真は首を横に振った。乱菊は赤ん坊が出来て、とても嬉しそうだった。産まれるのを楽しみにしていた。
「あんなに痛いって分かってるのに、叔母上はすごく嬉しそうだったでしょ? どうしてだか分かる?」
 再び、首を振った主真に、
「大好きな人の赤ちゃんだからよ」
と絢女は教えた。
「叔母上が叔父上のこと大好きなの、主真もよく知っているでしょう? 女の人にとって、大好きな人の赤ちゃんを産めるっていうのはね、とっても幸せで、嬉しいことなの。赤ちゃんを産む時に痛いのなんてへっちゃらて思えるくらいに、幸せなのよ」
「…」
「母さまも叔母上と同じ。母さまは父さまが大好きなの。だから、主真が出来たって分かった時、とっても嬉しかった。主真が産まれた時は、確かにものすごく痛かった。苦しくてつらかった。でも、母さまのお腹から出てきた主真の顔を見たら、嬉しくって、嬉しくって、痛いのも苦しいのもどこかに飛んで行ってしまったの。ていうよりも、いっぱい痛かった分だけ余計に嬉しくてたまらなかったかな」
「ほんと…?」
「本当よ」
 絢女は微笑んだ。
「それにね、痛くて苦しかったのは、母さまだけじゃないの。主真だって苦しかったのよ」
「かずまも…?」
「ええ。主真もよ。主真はその時はまだ赤ちゃんだったから、もう覚えていないわね。でもね、母さまが苦しかったのと同じ分だけ、主真もすごく苦しい思いをして産まれて来たのよ。お母さんのお腹の中って、赤ちゃんにとって、とっても居心地のいい場所なの。その居心地のいい場所を離れて、暗くて、狭くて、息苦しいところを通って、赤ちゃんは産まれて来るの。怖いよう、暗いよう、痛いようって泣きながら、だけど、主真は途中で挫けたりしないで、頑張って産まれてきてくれた。赤ちゃんだった主真はいっぱいいっぱい頑張って、父さまと母さまに会いに来てくれたの。だからね、主真は謝らなくてもいいの。母さまと主真は一緒に頑張ったんだから」
 主真の隣りに腰を下ろしたギンが、息子の小さな頭をぐしゃぐしゃと髪を掻き混ぜるようにして撫でた。
「母さまの言う通りや。父さまなんてなァ、母さまと主真が苦しい思いして頑張っとる時、なぁんも出来ひんかった。母さまの傍で、頑張れ、頑張れて励ますことしか出来ひんかったんや。それに比べたら、母さまと一緒に頑張った主真は何百倍もえらいんやで。主真が母さまに謝らんならんのやったら、父さまはどうすればええやろなァ?」
「主真は父さまと母さまの宝物なのよ」
 絢女が両腕を伸ばして、おいで、と促すと主真は絢女にしがみついてきた。小さな体をぎゅっと抱っこして、絢女は、
「主真、大好きよ。父さまと母さまの子供に産まれてくれてありがとう」
と伝えた。
 絢女の話を横で真剣な顔で聞いていた柊也が、父親の顔を見た。柊也の欲しがっている言葉を察した十四郎は、ぎゅうぎゅうと力を込めて、息子を抱きしめた。
「柊也も俺と烈の宝物だぞ。柊也だって、主真くんに負けないくらい、頑張って産まれて来たんだからな」
「ちちうえ、いたいよ」
と文句を付けながらも、柊也は嬉しそうだった。
 主真が落ち着いたことに安堵して、桃がはぁと大きく息を吐いた時、
「あ…」
と絢女が小さく声を上げた。
「産まれた」
 勢いよく、冬獅郎が絢女を振り返った。その場の全員が息を凝らして、分娩室の気配に耳を傾けると、扉越しに、細い産声が聞こえてきた。
「ほんとだ…、産まれたぁ! シロちゃん、おめでとう!!」
 桃が両手で冬獅郎の手を握りしめ、ぶんぶんと振り回して祝いを述べる。
「まだ、一人目や。あと一人、出て来んと」
とギンがはしゃぐ桃を窘めた。
「ずいぶん、小さい声だなぁ」
 十四郎が首を傾げた。柊也はとても元気のよい子供で産声ももっと大きかった。柊也の声しか知らない十四郎が心配そうに眉を曇らせているのを見て、
「乱菊の子は双子ですから体も小さいはずです。小さい分、声も細いんですよ、きっと」
と絢女が笑みを浮かべた。
「小さくてもしっかりした産声だし、霊圧も安定しているようですから、大丈夫ですよ」
 烈や勇音やその他の四番隊士、母親である乱菊の霊圧が分娩室には入り乱れている。十四郎にはその中から赤ん坊の霊圧を拾い上げることなど出来なかったが、絢女はしっかりと感じ分けていた。流石は一児の母と、十四郎は感心した。
 冬獅郎は一言も発せず、分娩室を凝視している。今すぐにでも、分娩室に入って赤ん坊と乱菊を確かめたいに違いない。だが、先ほど、ギンが桃に告げたようにまだ一人目だ。あと一人が無事に産まれてくれなければ、安心できない。
 再び、全員が息を詰めた。
 最初の産声が聞こえてから、間もなく二刻にこく
*4 という頃、
「産まれた」
 今度は冬獅郎が声を上げた。分娩室の音に耳をそばだてていた彼は、最初の赤子の声に被さる別の泣き声に気付いたのだ。
「ほんまや」
「良かった。この子も元気そうよ」
 ギンと絢女が笑みを零し、すっかり元気を取り戻した主真と柊也が、
「やったぁ!」
と歓声を上げた。
 分娩室の扉が開いて、烈が現れた。
「おめでとうございます、日番谷隊長」
と烈は微笑んだ。
「元気な女の子の双子です」
 女の子の双子と聞いて、再び柊也たちが、
「やったぁ!」
と声を上げた。
 烈にいざなわれ、冬獅郎が分娩室に入って行った。

 分娩室の寝台に横たわる乱菊は、ぐったりと脱力していた。汗に濡れた髪が額や頬に張り付いているのを、冬獅郎はそっと指先で払ってやった。目の下には濃い隈が出来ており、顔色も青褪めている。にもかかわらず、彼女は神々しいほど美しく見えた。
「ありがとう、乱菊」
 傍らに寝かされた赤子と乱菊を交互に確認し、冬獅郎は感謝を述べた。
「冬獅郎さん…」
「二人とも元気で可愛い女の子だ。ありがとう、乱菊」
 冬獅郎は我が子に慎重に触れた。羊水でふやけた娘たちの指を左右の手で注意深く優しく摘まむと、
「おまえたちもありがとう。よく頑張って産まれてきてくれたな」
 先ほどの絢女と主真の会話は、冬獅郎の胸にも深く響いていた。乱菊の子宮という居心地の良い場所から離れ、昏く、狭い産道を死に物狂いで下りてきて、この子たちはこの世に産まれて来たのだ。
「俺も、乱菊も、ずっとおまえたちに会いたかった」
 冬獅郎は娘たちから手を離すと、乱菊のこけてしまった頬を緩く撫でた。
「どっちが姉さんなんだ?」
「右っかわの髪の色が少し濃い方です」
「おまえと同じ色の髪の子か…」
「はい」
 双子は髪の色も、目の色も異なっていた。乱菊が姉だと教えた方の女の子は乱菊譲りの蜂蜜色の金髪がぽやぽやと生えていた。まだほとんど見えていないはずの眸は、これは冬獅郎の父親か母親からの隔世遺伝なのか、絢女によく似た琥珀色をしていた。一方、妹の方は父母の髪色を混ぜたような極めて明るい金髪だった。うっすらと金色がかった銀髪という表現でもいいかもしれない。シャンパン・ワインのように淡い色味の髪だ。眸は母親譲りの空色だが、ごくわずかに翠色味を帯びているようにも見えた。
「冬獅郎さん…」
「ああ?」
「表に絢女やギンたちがいるんでしょ。主真と柊ちゃんも…」
「ああ」
「赤ちゃん…、会わせてあげて下さい」
「大丈夫か?」
 冬獅郎の問いに、乱菊は深く頷いた。
「主真と柊ちゃんには助けてもらいました。会わせてあげなきゃ…。あんなに楽しみにしてくれていたんですもの」
「そうだな」
 冬獅郎が傍らで見守っていた烈を顧みて確認すると、彼女は微笑し、
「勇音、絢女隊長たちを呼んできて下さい」
と副官に命じた。勇音は直ちに命令に従い、ほどなく絢女、ギン、桃と彼らに手を引かれて主真と柊也が分娩室に入って来た。身内でない十四郎は乱菊の負担になってはと遠慮したのだ。
「可愛えなぁ」
 赤子を驚かせないようにひそひそ声でギンが言った。
「こっちの子ォは絢女によう似た眸をしとる」
「その子が姉さんなの」
と乱菊がギンに教えた。
 主真も、柊也も、食い入るように赤ん坊を見詰めた。乱菊のお腹の中に入っていたくらいなのだから、当然小さいとは考えていたが、実際に目にした赤ん坊は予想を遥かに上回る小ささで、人形のように思えた。本当は触ってみたくてうずうずしているのだが、十四郎や絢女から赤ん坊に触れてはならないと釘を刺されていたので、一生懸命我慢しているのだ。
「柊ちゃん、主真」
 陣痛に呻き続けて掠れた声で、乱菊は子供たちに呼びかけた。
「指くらいなら触ってもいいわよ」
 主真は絢女を、柊也は烈を振り仰いだ。
「そうっとですよ」
と烈が許可を与え、二人は目を輝かせて、遠い未来にお嫁さんになる予定の赤ん坊に手を伸ばした。
「ちっちゃい」
「かわいいなぁ」
 ギンに倣ってひそひそと会話を交わしながら、主真たちは赤ん坊の指先をちょんちょんと優しくつついた。

 乱菊の病室には祝いの品が、山となっていた。
 何しろ、四百二十年ぶりの快挙である。護廷の隊長格が見舞いに訪れるのは当然として、ただ双子を見たいと、護廷とも日番谷夫妻ともかかわりのない者まで訪ねてくるのだ。尤も、その手の野次馬は四番隊の入口で隊士によって門前払いされていたが。
 祝いの品の中で一際目立つのは、白哉が贈ったベビーカーである。烈や絢女の時にも祝いにベビーカーを贈った彼は、乱菊の子が双子だと判明した時に、
「では、私が双子用を特注しよう」
と真っ先に申し出て来たのだ。
 四大貴族・朽木家当主特注のベビーカーは頑丈で使いやすそうな逸品だった。ベビーカーの上に大きなわかめ大使のぬいぐるみが二つ、並んで乗っているのは見なかったことにして、冬獅郎と乱菊は白哉に深く感謝した。
 ばらばらに訪れては乱菊や赤ん坊も迷惑だろうと気を遣った副隊長連は、連れ立って赤ん坊を見にやって来た。
「名前はもう決められたんですか?」
 イヅルの問いに、冬獅郎は頷いた。
「姉が『あやの』、妹が『きくね』だ」
「…」
 一瞬の沈黙の後、
「あやのちゃんの『あや』は絢女さんの『絢』の字ですか?」
と七緒が確認した。
「ああ。姉さまから一字貰った」
「きくねちゃんの『きく』の字は、当然、乱菊さんの『菊』ですね」
と修兵。
「もちろんだ」
 双子は「絢乃」、「菊音」と名付けられたのだ。
(シスコンと愛妻、ここに極まったのう)
(賭けてもいいです。もし、三つ子の女の子だったら、絶対、三人めは「桃子」とか「桃恵」とか、とにかく「桃」がつく名前を付けてましたよ)
(俺もそう思う)
 こそこそと話し合う修兵、イヅル、鉄左衛門と恋次。一方、七緒たち女性副隊長陣は赤ん坊の頬をそうっとつついたり、小さな手に自分の指を握らせたりして、楽しげだ。
「あたしも早く、こんな可愛い赤ちゃんが欲しいなぁ」
「私もです」
「阿散井くんと朽木さんはまだ新婚さんだもの。もうちょっとくらいは赤ちゃんいない方がいいんじゃない?」
と桃は笑った。
 未だ独身の修兵が、
「絢乃ちゃんか、菊音ちゃんか、どっちか俺の嫁さんにならねぇ?」
と赤ん坊に話しかける。
「あんたで三人目よ」
 乱菊が笑った。
「三人目って…?」
「この子たちに求婚プロポーズしたのが」
「ちなみに、あと二人って?」
「主真と柊ちゃん」
 途端に、イヅルと鉄左衛門が左右からぽんと修兵の肩を叩いた。
「諦めた方がいいですよ」
「うむ。あの二人がライバルなら勝ち目はなさそうじゃけえ」
 修兵は憮然として、
「俺、あんなガ…子供以下か?」
と口にした。ガキと言い掛けて、子供と言い直したのは、二人が烈、及び、ギンの息子であることが頭によぎったからだろう。だが、
「おまえよりも甲斐性はありそうだぞ」
「そうねぇ。柊ちゃんと主真の方が将来性もありそう」
と冬獅郎と乱菊からも一蹴されてしまった。
 山本も見舞いに来た。病室に入って、乱菊を労ったところまでは総隊長らしい威厳を保っていたが、双子を目にするなり、だたの好々爺に早変わりし、
「めんこいのう」
とひたすら目尻を下げていた。実は、山本はかなりの子供好きなのだ。
 更木までやって来たのは驚いたが、これは赤ん坊に興味があってではなく、やちるに、
「剣ちゃんも一緒に赤ちゃん、見に行こうよ!」
と散々にせがまれた結果らしい。ちらりと一瞥した後、
「小せぇな」
で終わったのが何ともらしかった。
 絢乃と菊音に順に乳を含ませながら、乱菊は幸せを噛みしめる。
 周りの皆に祝福されながら、愛する人の子供を産めた。最貧区に流された自分が今、この上もない幸せに浸っていられるその根っこはギンとの出会いだったと、乱菊は思い返していた。彼と出会えたからこそ、あの惨めで危険な最貧区を生き抜くことが出来たのだ。
「ボクと会うた日が乱菊の誕生日」
 それを乱菊は今、心から正しいと思う。
 ギンに会えた。彼と助け合って流魂街最貧区を抜け出し、死神となり、そして、冬獅郎という生涯の男性と巡り会えたのだ。
 抱きかかえた二人の娘の重みは、そのまま乱菊の幸せの重みだった。


*1 一刻いっこく=約14分。
*2 一寸半=約5cm。
*3 二刻ふたとき=約4時間。
*4 二刻にこく=約30分。

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 130000打キリリク小噺

 リクエストは10万打企画フリーリクエストの「アンカーのいないリレー」、及び、10万打キリリク「不器用な咎人」の続き。日乱の子供に、ギン絢と浮卯の二世を絡めてということでした。出産時でも、産まれて数年後でも、ということでしたので、出産時の話にしました。
 妊娠させた以上、責任もって(?)出産させねばという思考の下、実はリクエストを頂く以前から色々と妄想はしておりました。ですから、かなり早い段階で構想が下りて来て作品に纏まりました。ただ、想定外にキッズが大活躍してしまい、日番谷隊長に全く見せ場がないのがちょっとばかり無念ですが。
 絢女が語った「怖いよう、暗いよう、痛いようって泣きながら、だけど、頑張って産まれてきてくれた」という台詞は、中島みゆきの「誕生」という曲中の「泣きながら生まれる子供のように」というフレーズが念頭にあって出てきたものです。出産も子育て経験もない私が語るのはおこがましいとは承知していますが、母親による幼児虐待死とかの事件を見聞きする度に「十ヶ月近く不自由な思いをして、出産時は出産時でつらくて痛い思いをしてやっと産んだ子じゃないのか?」と尋ねたい衝動に駆られます。日本は子育てにかかる負担が母親に過剰に集中していることもあり、孤立し精神的に追い詰められた母親が育児ノイローゼになった挙句というケースもあって、一概に母親だけを非難できないこともあると理解しています。ですが、やっぱり産んだ以上、幸せになれるよう育てて欲しいと願わずにいられません。UPを五月五日の「こどもの日」にしたのも、ささやかな管理人の主張です。
 キリ番ゲッターのこう多朗さま。楽しんでいただけたなら、幸いです。キリリク作品、納品いたします。

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2012.05.05